俺は…流行に乗る…!!BEASTARS、感想。
前回はえもーい文章を書いてました。麹橡です。前回の記事から数日しかたってないので何も起きてないです。むしろなにも起こる筈がないですね。
さて、今回はこちら、『BEASTARS』を紹介します。
- 作者: 板垣巴留
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2017/01/06
- メディア: Kindle版
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ひと目見た瞬間、こう思いました。ズートピアじゃん。これズートピアじゃん。おおおっおっおっーだめだったーうまくいかないーの無限リピートが脳内に高らかに響きます1。
読む前はそう思ってました。
大事なことなので2回言います。
読む前はそう思ってました。
いや買う時に『ソラニン』と迷ったんだけどこれ1冊500円でお釣りくるじゃないですか。この年になるとワンコインに収まる漫画とか有り難すぎましてね。わかりませんか皆様?
あ、2巻も読みました。2巻までの感想で書きますね。ルイ好きだし。
- 作者: 板垣巴留
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2017/04/07
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すごいねー。人気だからかアマゾンにKindle版しかなかったよ。
TSUTAYAでコミックスを買って、早速読んでみます。
ふむふむ…どれどれ………
最終的に6巻まで買いました。ソラニン新装版より合計の金額がかかってますし、これだからオタクはいけませんね。自戒自戒。
やったね、たえちゃん!6巻までの感想に増えるよ!
2巻までとかうすぼんやりしたこと言ってごめんなさい。こうなれば既刊2全部読んだ感想でお届けしますよ。そっちのほうが面白そうだし。
今回の目次はこちら!!
あくまでこの感想というものは私の主観でしか成り立たないものであり、そして人間は誰しも間違う生き物です。こういう前置き大事なんで今回も挟ませてくださいね。 『BEASTARS』開幕です。 やばいよやばいよー、ウィキありました。さすが少年チャンピオン。 さっそくあらすじを引用します。 全寮制、中高一貫のエリート学校「チェリートン学園」。ある日この学園内で、草食獣アルパカの生徒テムが肉食獣に殺されるという「食殺事件」が起きた。警察の見解では学内の肉食獣が怪しいとのことで、<中略>結局真犯人は見つからないままであり、学園内に生まれた肉食獣と草食獣の確執のようなものが消えることはなかった。 新入生歓迎公演「アドラー」に出演予定だったテムが亡くなったことにより、演劇部は代役を立てることを迫られる。そのやりとりのなかで、レゴシは演劇部の役者長・アカシカのルイに一目置かれるようになり、<中略>レゴシはハルと交流を重ねていくうちに、彼女に対して恋愛感情のようなものを覚えていく。<中略>レゴシは肉食獣の本能に抗いながら、ハルへの想いに殉じて行動していくようになる。 え、長いよ… ウィキのあらすじ長すぎひくわ… これの2倍くらいの分量あったので勝手に削りました。ウィキだけでは頼りないので秋田書店の公式サイトから引用します。 肉食獣と草食獣が共存する世界。そこには、希望も恋も不安もいっぱいあるんだ。 チェリートン学園の演劇部員レゴシは、狼なのにとっても繊細。そんな彼が多くの動物たちと青春していく動物群像劇が始まる!! 短すぎるよ。なんで極端なんだよこんなに… というか、秋田書店のあらすじ罠でしかないですね。 この作品、見た目に反してめちゃくちゃ暗いんです。青春イエーイ系ではなく、建前としての夢や希望すらないズートピアみたいな作品です。 まずこの世界の肉食動物と草食動物は基本的に仲が良くないです。一線を引きつつも紳士的に振る舞っているところこか、薄氷の上のタップダンス感があって好きです。あと種族間でのまとまりも強く、ルームメイトは同じ種族で結婚相手すら同じ種族から選ばれることが殆どだそうです。 思春期この時期って異質なものにビクビクしてしまうし、全寮制の学校って閉鎖的ですしおすし。種族が遠ければ遠いほどビジネスライクにしか付き合えないんですね。 針の筵すぎてやばいですよね。 学校嫌いマンだからいいぞもっとやれとしか言えませんが。ダーク系の学園モノはいいぞ。青春のどうにもならなさを描ききってて凄く好きです。稀に青春の煌めきを感じるところとか、詫び寂びだし非常に良いですね。まじジャパニーズ。 こちらもウィキから引用しますね。どどどーーん。 板垣が同様のテーマで描いたオムニバスの短期集中連載作『ビーストコンプレックス』(『週刊少年チャンピオン』2016年14号から17号までに掲載)が人気を得て、本格連載化した作品。以前から持っていたキャラクター(主人公のレゴシ)を高校生にして、世界観はそのままで舞台を高校にすれば少年漫画っぽくやれるかも、ということで連載が決まった。 本作は「擬人化した動物による高校生ライフを描いた作品」であるが、いわゆる“ほのぼの系ストーリー”ではなく、表面上は平和だが歪さを併せ持つ世界を舞台に、人間の本性を動物たちに置き換え、種族を越えた友情や恋と、逆に相容れることのない対立を描いている。 2018年、宝島社から刊行された「このマンガがすごい!2018」のオトコ編で第2位に選出された。 また累計発行部数は60万部を突破している。 「このマンガがすごい!2018」2位なのがいいですよね。こういうので1位を獲得する作品は王道すぎるんですよねわかります。 しかし、今回1位の約束のネバーランドも凄く面白そうなんですよやばいですよね。 今年は豊作ですね
作品の概要
前回とは大違いだよ。分量も印象も違いますが、どちらも間違ったことは書いてませんし、お好きなほうのあらすじで楽しんでください。実際にこの世界で生活したら、私は胃を痛めそうとしか思えませんけどね。作者について
あらすじしか読んでないけど。
この作品なんですけど、絵本みたいなふわふわしてるタッチなのに、描いてる内容が R-15 くらいなのが好きなポイントです。あと動物の表情の描き方がうまいです。あと、デフォルメされてるコマの表情も好きです。
毛皮がふわふわしてて素晴らしいです。唐突。
あと脇役キャラの作り込みが細かくて好きです。群像劇と書いてありますが、本当に細かくて群像劇なんです素晴らしいです。
正直に言うとこれが最初の作品だからあんまり作者の傾向について言うことがなさすぎるんですほんとごめんなさいせっかく章まで作ったのにごめんなさい。4
この作品のキャラクターについて
この漫画なんですが獣人しかいないんですよね。
この世界の主な獣人は基本的には 鳥、爬虫類、哺乳類 です。魚類は見たことないですし、虫は食用として出回ってるみたいです。
こと世界の獣人が文化的な生活を送ってるところはズートピアなんですが、ズートピアほど動物としての本能が廃れてない世界です。
建前的にはいくつかの対策が政府によってなされていますが、動物としてのどうにもならない本能はなくなりません。
裏市がありますもんね。
レゴシ
ハリポタ原作より暗い少年漫画の主人公とか、おらはじめてだぁ。ワクワクすっぞ。
レゴシはイヌ科最大の体格を誇るハイイロオオカミの17歳の少年です。
繊細で優しい性格で、自分の大型肉食獣としての凶暴さを嫌っています。しかし、彼の持ってる優しさという美徳は、彼をあまり助けてはくれません。
もし、自分の倍の体格を持ち自分を一撃で殺せる生き物が、自分と同等の知能と倫理観を持っていて優しい性格であると理解しても、私は心からその生き物を信じることはできませんし、多分そういう理由なんでしょう。
彼は部屋の隅で大人しくしてる感じの少年漫画の中では控えめすぎる主人公だったのですが、ハルを捕食しかけてから徐々に変わって行きます。
そして、自分に対する自己嫌悪と、相手を倒し勝ち取ることで自分を通す生き方への葛藤と、捕食衝動なのか恋なのかわからないハルに対しての気持ちで揺れに揺れまくります。
繊細で優しすぎて答えが出せないのですよね。どれを選んでも何かを諦めないといけないのだから。
ここで軸がブレまくるのは学園モノの少年漫画の主人公にありがちな優柔不断さとはまた別なところがいいんですよ、やってることは同じでも。ここテスト出ます。
レゴシは変わるしかないんです。
自分でもよくわからない理想の自分に。
平等でありたいのに、この世界は平等じゃなくて平等にするためには自分の嫌っている暴力で自分を示さないといけなくて。自分のハルへの気持ちはエゴが詰まってるし、それでも気持ちを示したいと思うし。
そして自分を否定して変わることは、すごく精神に負担がかかります。レゴシの場合、自己嫌悪と贖罪から始まってますしね。ほんと途中で精神病まないかヒヤヒヤしました。
半分病んでるようなシーンもありましたが、さりげなく慰めるルームメイトが良心すぎてつらい。
この作品は成長の物語なんですが、肉体的な強さではないんです。色々な困難を乗り越えることで、レゴシはどんどん精神的に強くなっていきます。それは自己を主張する強さであり、現実と折り合いをつける強さでもあります。
そしてそれらは全て、自分の気持ちに責任を持つ強さに帰結します。
彼は成長して、大人への階段を昇っていきます。自我を掴むために、ひとりの生き物としてのアイデンティティを確立するために。
この作品は獣人間の差別を描いた物語でもあり、普遍的な少年の成長物語なのがすごいですよね。まさに千と千尋的な普遍さですね。作者神かよ…
ルイ
ルイは、演劇部のリーダーで、18歳の少年です。
プライドが強く、自分にも他人にも厳しくて、何事にも妥協しない性格です。突き抜けるカリスマ性で仲間をまとめるタイプのリーダーで、次期ビースター5の有力候補の1人でもあります。あと、他人に対して高圧的な部分もありますが慣れると可愛いです。
資産家の息子で、学校の人気者で完璧な彼なのに、彼はどうあがいても草食動物のアカシカであり、肉食動物に力で勝つことはできません。
この世界はある意味人間界よりも残酷で、生まれ持った種族差を覆すのはほぼ不可能なことなのです。
演劇の役の中ではどれだけ力強く無敵でも、一生をかけて努力しても、ルイは肉食動物に力で勝つことのできない非力なシカでしかない。
私はこの悲劇性だけでご飯3杯いけます。まじで美味しいです神様ありがとう漫画の神様。
また、ルイは頭が良くて機転も利くし努力もするから虚勢を張るしんどい生き方ができてしまうのも魅力ではありますね。
本当に強くないからこそ、「強く立派でなければならない」という思いに雁字搦めにされる。そして「強く立派になること」を「その他すへでの気持ち」よりも優先してしまう。
いやほんと、ご自分を大切にしてください…
自分の気持ちを大切にしてください…6
気が強くて弱味を見せないルイが、ごく稀に18歳らしい表情を見せてくれるコマがあります。その時のルイを、ルイ自身が大切にしてくれないのです。
強くて何でもできるからこそできるゴリ押しは時には痛快だけど、悲壮なんですよね。なんでそんな覚悟で挑まないといけないのですか。
ルイは、18歳の少年なんですよ。
尊い。尊すぎますよ、ルイ。おじさんこういうキャラは幸せになってほしいと思うの。レゴシとは違い、涙を流してのたうち回るような尊さですね。
ハル
どこにでもいる?普通の?ドワーフ種のウサギの少女です。18歳。
素朴でキュートな見た目と小さくて華奢なボディ、自己主張の激しい性格、そして圧倒的な経験人数を誇る、人類には早すぎるヒロインを地で行くスタイルで好きです。
人類じゃないけどさ。
「周りの庇護欲を掻き立てるかよわいウサギとしての自分」が嫌いで、「周りの人に対等に見てほしくて」誰とでも寝て、そのせいで草食動物の中で孤立しています。
そして、そんな自分を「エサでしかない」と表現してます。
ほんと内面が勇ましくて好きです。
草食動物の特に小動物は同族の仲間との助け合いが大切で、仲間内で孤立して1匹でふらふらすることはかなり危ないことなのです。ぶっちゃけ攫われたり食べられかけたりするのとかも、だいたい孤立して単独行動しているせいです。
この漫画では背景とかで色々な動物が出てきますが、草食動物は大抵複数で行動してます。
このハルちゃんなんですが、種族の生まれ持った特徴でなんでもかんでも決めつけられる世界への反抗心を、前の2人よりも素直に表現してて美味しすぎます。
というか、自分に正直すぎるんですよね。自分に正直だからこそ、他人の「庇護欲を勝手に掻き立てられる姿」に我慢できずに指摘してしまう。
多分、「敗者にすらなれず、エサでしかない」自分がすごく嫌いなんだと思います。
最初はそれを「オスってみんなそうなのよ」っていくらかを相手のせいにして無理矢理納得してますが、途中から変わります。
というか、レゴシと会ってから変わります。
セックスして勝手に相手のことをわかったふうになっているのは自分も同じなのかもしれないと、微量ながら思い始めます。
色んなオスと寝ることで「かよわいウサギ」という枠から抜けたように思ったけど、結局自分は「セックス」という枠の中でしか対等に扱ってもらえないというコンプレックスが炸裂してます。
というか、最初はそれでいいと割り切ってたけど、レゴシの純粋さにあてられてそう思えなくなってしまったのだと思います。
言い過ぎな気がしてきたので少し消します。ほんと女心が難しい。
相手と対等になりたい自分と、草食動物の被食者としての本能と、かよわくて勝負の舞台にすら出れない自分に対する自己嫌悪でぐちゃぐちゃになりながらも、目の前のことにあっさり向き直ったりするところが女の子らしくて好きです。ほんと勇ましいです大好きです。
そして小動物の、せまい世界で生きるしかない諦めを所々に感じるのもポイント高いです。
ウサギらしさを中途半端に諦めなくて孤立してしまう自分と、周りとは価値観が迎合しなくてもそれらしい振る舞いをしないと蹴落とされる草食世界の残酷さを感じます。私ならすぐ死にますね、ストレスで。
ハルは…何て表現していいかわかりません。
ヒロインだけど、ヒロインじゃないんです。
肉体的には「かよわい」のかもしれませんが、「守られるためのヒロイン」ではないんです。ヒロインよりも生々しくて、記号的な生き物ではなくて、そこに血肉を感じるんです。
ハルは1匹の「生き物」なんです。喜怒哀楽があり、痛みを感じる、この世界に1匹だけの生き物なんです。
尊゛い゛よ゛存゛在゛が゛。
その生き物を守るんだよヒーローすら引き立てるんだよ。
ヒーローのためのヒロインではなく、ヒロインのためのヒーローなんだよ。ここ間違えたら落単させるぞオラ。
すいません調子に乗りました。
とても内面も魅力的なキャラなんです。是非是非、読んで確かめてくださいお願いします。
ルイに対しての恋愛感情は強く生きてるルイに対する憧れが多い気がするけど、これは言い過ぎな気もするんです。女心って難しい。
まとめ
レゴシは、自分自身の肉食獣である部分を嫌っています。彼は、この草食動物ファーストの時代に、優しくありたいと願い、抑圧した日々を過ごしてきました。
でも、獰猛なことはいけないのでしょうか。
他人を傷つけることはいけないことです。食べることもいけないことです。しかし、ただ純粋に獰猛な性格であることはいけないことなのでしょうか。
ルイは、草食動物なのに、肉体的な強さに固執します。草食動物が強さを求めることは、いけないのでしょうか。草食動物は勝者になれない存在なんでしょうか。
そして異なる種族との恋愛はいけないことなのでしょうか。交配できないかもしれない関係というものは、間違っているものなのでしょうか。
同じ種族、生物的に近しい種族としか仲良くできない世界は、間違っているのでしょうか。異なる種族とは、一生をかけてもわかり合うことができないのでしょうか。
間違ってないと示すために肉体的にも精神的にもボロ雑巾になりながら、必死に抵抗するレゴシは間違ってるのでしょうか。よくある青春のあやまちなのでしょうか。
この作品は、この質問を問題提起として、我々読者に訴えかけています。
尾崎豊みたいですね。尾崎ワールドが展開してます。
試し読みはこちらです。今回はソク読みです。
あらすじにも出てきた「アドラー」という劇は、ひと言で纏めるなら「死神が死ぬ筈だった少女をつれて追手から逃げる」という話です。
運命は切り拓くものと他人は簡単に言いますが、切り拓けない運命を無理矢理切り拓くのは、簡単にできることではありません。
事実、この劇では最後、死神と少女は死んでしまいます。
「捕食衝動からくる愛情かもしれないけど、本能に負けずに真っ当な恋愛をしたいと思い、周りと闘うことでこれを証明する」レゴシは、もしかしたら、知らず知らずのうちに運命を切り拓こうとするひとりのアドラーなのかもしれません。
ちなみに、ルイもアドラー性の強いキャラクターなのですが、色々とネタバレになるので割愛します。
『BEASTARS』は複数形なんです。私はこれを、意味のあることだと思います。
最後に、2/8日発売の新刊を貼ってしめさせていただきます。以上、麹橡がお送りしました。
- 作者: 板垣巴留
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2018/02/08
- メディア: コミック
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BEAST COMPLEX (少年チャンピオン・コミックス)
- 作者: 板垣巴留
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2018/02/08
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